「シブパネル」-はじまりは米国から

「ファイザープログラム 心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援」で助成いただき、2019年度から「病気や障害のある人の「きょうだい」の経験共有の場「シブパネル」開発事業」を3年にわたってみんなで進めてきました。現在作成中のガイドブックに掲載しきれなかった情報を掲載していきます。

「シブパネル」は、病気や障がいのある人の「きょうだい(sibling)」によるパネルトークです。
もともとは、米国シブリングサポートプロジェクトの「Sibshops(特別なニーズのある子どものきょうだいのためのワークショップ)」のファシリテーター養成トレーニングの中で行われている“ Panel of Adult Siblings“を日本でも行いたいという思いから始まりました。

この投稿では、「きょうだい支援の会」の有馬靖子さんに、米国で行われている“ Panel of Adult Siblings“と注意点についてご執筆いただいたものをご紹介します。(文中の「シブショップ」は、シブリング(きょうだい)のためのワークショップという造語で、主に8歳から13歳の、特別なニーズのある子どものきょうだいを対象に行われている支援プログラムです。)

1)聴衆のきょうだい支援に関する基礎知識の有無を確認する。
米国ではシブショップのファシリテーターを育成するための2日間トレーニングの一部として大人のきょうだいによるパネルを行い、トレーニングは下記のスケジュールで行われます。
【1日目】
1)きょうだいの持ちうる悩みと人間的成長の可能性に関する講義を3時間
2)大人のきょうだいによるパネルを1時間30分
3)シブショップの始め方を45分
【2日目】
4)デモンストレーション・シブショップの説明を1時間
5)デモンストレーション・シブショップを4時間
6)振り返りと地域でのシブショップの企画準備を1時間

つまり、パネルの聴衆はきょうだい支援の基礎知識を得たうえで、大人のきょうだいの話を聴くという設定です。ですから、シブパネルを単独で企画する際には、聴衆としてきょうだい支援の基礎知識がない方々も受け入れるのか、慎重に検討します。聴衆がどういう方たちかは、パネリストの安心安全に関わってくるからです。

2)様々な立場のきょうだいにパネリストをお願いする。
シブパネル企画の際には、まず国語辞典でパネルディスカッションの意味を確認してください。シブパネルは通常のパネルディスカッションとは異なり、議論・討論を目的にしていませんが、異なる意見・経験をもつ方々に登壇してもらうということに関しては同じで、ここはとても大切なポイントになります。きょうだいとしてよかったことなんて1つもなかったという人から、よいことしかないという人まで、私たちは様々な経験を学ぶ必要があるからです。

3)アウティングに注意する。  
シブパネルで経験や気持ちを話したからといって、パネリストはすべての場面でこれらのことをオープンにするわけではありません。アウティング(本人の了解を得ずに、他の人に公にしていない秘密のことを暴露する行動)が起きないよう、しつこいぐらいに聴衆に注意喚起する必要があります。