京大病院小児科に「楽しい時間」をプレゼントしていらっしゃるボランティアグループ
にこにこトマトさんのニュースレターに04年10月からへなちょこなコラムを書かせていただいています。コラムのタイトルは「もう一人の主役」。前代表の神田さんがつけてくださいました(わーい)。
2001年に、児童文学作家の石井桃子さんが子ども達に向けて書かれたメッセージがあります。
子どもたちよ 子ども時代を しっかりと 楽しんでください。
おとなになってから 老人になってから あなたを支えてくれるのは
子ども時代の「あなた」です。
はじめて読んだ時、心がふるえ、ほんとうにその通りだと思いました。
大学の授業のゲストスピーカーに呼んでいただいた時に、「子どもの時、どんなことが楽しかった?どんなこと好きだった?」と学生さんたちに聞くと、意外と私たちと変わらない素朴なあそびを楽しんでいた答えが返ってきたりします(これまで聞いてきた中で一番可愛かった答えは「落ち葉を集めて山にして、火が付いていると想像してみんなで囲む焚火ごっこ」です)。祖母に聞いてみた時は、ふわっと顔がほころび、子ども時代の記憶は色鮮やかで、匂いもしっかりついているよねと話してくれたりもしました。
私たちが出会うきょうだいたちには、その「子ども時代」を一生懸命背伸びして、大人のステージに上がって過ごしているような子がいます。「子ども時代なんていらないよ」「ひとりでだいじょうぶだよ」そうやって頑張っている子どもたちに何ができるのだろうといつも考えてきました。
「あなたは子どもなんだよ!」「あなたのいるべきステージはそこじゃないんだよ!」と引き摺り下ろしてしまうと、そうすることでぎりぎり保たれているその子の心が傷ついてしまうことがあります。その子の優しさや頑張りは受け止めつつ、でもいつの間にか、子ども時代を楽しんでいる瞬間が生まれるように、子どものステージに下りている瞬間を増やすことはできないだろうかと考えます。
先日、10年以上前に、当時小学生で「きょうだいの日」というイベントに来てくれていたきょうだいさんが話してくれました。「きょうだいの日は、おやつとか風船とかシブレンジャーとか、すごい楽しいことが山ほど用意してあって、そんなんやったから、行った時つい子どもに戻ってしまって楽しかったし、救われてたんやと思う」
活動も10年を超えると、一緒にあそんだきょうだいたちが大人になって、こうしてふいに答え合わせをしてもらっているようなことが起こります。私たちが願ったこと、渡したいと思ったものが10年経って届くのは、奇跡のようで、でも、子どもたちの大きな力なんだと感じています。 きょうだいたちが大人になった時、老人になった時、支えになるあたたかな記憶を届けられるように、今私たちができること、たくさんあるなあと今日も考えています。