もう1人の主役(27)

京大病院小児科に「楽しい時間」をプレゼントしていらっしゃるボランティアグループ
にこにこトマトさんのニュースレターに04年10月からへなちょこなコラムを書かせていただいています。
コラムのタイトルは「もう一人の主役」。神田さんがつけてくださいました(わーい)。

 新しい年が始まりました。今年もよろしくお願いいたします。
 しぶたねの2009年は、小さいながら新たな1歩を踏み出した1年でした。小学生のきょうだいさん向けのイベント「きょうだいの日」を卒業していった中高生を対象に、「きょうだいの日番外編」と称した小さなイベントを始めたのです。  
 第1回は卓球大会を企画したのですが、きょうだいの参加はゼロ。部活が忙しくて行けないという連絡をくれる子もいたので、とりあえずしばらくは参加者ゼロでも続けていこうと、2回目は小学生きょうだいに送るクリスマスカード作りを企画することにしました(しぶたねからきょうだいたちにクリスマスカードを送るのも初めての試みでした。これもしぶたねを立ち上げる前からの私の夢のひとつだったので、嬉しい1歩です)。
 「中学生になっても、高校生になっても、行ったらいつでも必ず大歓迎される場所がある」ということが伝わればいいなと思って続けていきたい企画でしたが、2回目にしてなんと高校生が1人来てくれました。4年ぶりに会ったその子は私たちの背をすっかり抜き、とってもイケメン(!)になっていて、小学生のきょうだいたちに送るカードを一生懸命作ってくれました。あの小学生の男の子がこんなに立派な高校生になって今度は手伝ってくれているということが、ありがたくて、まぶしくて、敬語が少しくすぐったくて…活動を長く続けていくとこんなに大きなごほうびをもらえることがあるのか!と感動しました(前号のにこトマさんのハロウィンに参加した女の子のお話とも嬉しくかぶります)。
 そしてお正月には6年ぶりの女の子から年賀状が届きました。初めてのきょうだいの日に来てくれた子だったのですが、その時のことを「救ってもらえたっ!て感じでした」と書いてくれていて、新年早々涙が…。6年前、わけもわからず無我夢中で渡したものがこんなに大きくなってかえってくるなんて、まったく想像もつかなかったことで、本当に夢のようだと思いました。
 中学生以上のきょうだいたちに、きょうだいの日のチラシや年賀状を送るのにはいつも迷いがありました。負担に感じるかもしれない、もうしぶたねとは関わりたくないと思っているかもしれない(きょうだいとしてのしんどさがすっかりなくなってそう思ってくれているならとても嬉しいことなのですが)、返事もしないのにいつまでも届いて気持ち悪いと思っているかもしれない…と。でも、今回番外編に来てくれた男の子は「いつも手紙が来てたから今回来てみようと思った」と話してくれ、年賀状をくれた女の子は「いつもお手紙ありがとうございます」と書いてくれていました。私達の迷いをこの子達がさっと持ってくれたように感じました。
 中高生向けのプログラムを開始するにあたっても、思春期に入った子達にちゃんと満足してもらえることをできるだろうかという大きな不安がありました。その不安は今も続いていて、勉強しなければならないことも、話し合わなければいけないこともたくさんあるのですが、でも…きょうだいの日にあそびに来てくれた子どもたちが大きくなって、いつか、もしかしてすごく悲しい気持ちになった時に手を出してくれたなら、その手をきゅっと握りたい、というのが私の正直な願いです。中高生プログラムはもちろん、しぶたね自体、子ども達の中で当たり前な居場所として続いていくように…頼りなくですが、今年もたくさんの仲間と楽しく歩いていこうと思っています。