もう1人の主役(57)

京大病院小児科に「楽しい時間」をプレゼントしていらっしゃるボランティアグループ
にこにこトマトさんのニュースレターに04年10月からへなちょこなコラムを書かせていただいています。コラムのタイトルは「もう一人の主役」。前代表の神田さんがつけてくださいました(嬉しい)。

きょうだいを憎く思う子がいたら
 しぶたねは今、きょうだい支援を担える人を増やしてつながろう!と、研修ワークショップを各地で開いています。講座の中できょうだいさんの気持ちのお話をさせていただくと、いろいろなご感想やご質問をいただきます。最後のアンケートに「障がいをもつ兄弟姉妹を憎く思っているきょうだい児がいたらどうしますか」と書いてくださった方がおられました。ありがたいご質問をしてくださったなあと思いました。
 兄弟姉妹を憎く思っているきょうだいがいたら…まずは「そうかー、そうなんだね」と思います。その子がその気持ちに罪悪感をもたなくてもよいように、手伝えることはあるかなと考えます。それから、その言葉の先にいろんな理由、背景、歴史やSOSがあると思うので(例えばいつもお母さんをとられているから憎い、学校で友達にいじめられるから嫌だ等)、そこを大人が手伝うことで気持ちが楽になることがあるなら、一緒に考えさせてもらえたら嬉しいなと思っています。
きょうだいはどんな気持ちを持っていてもよくて、兄弟姉妹で必ず仲良くしなくてもよいのですが(健康な兄弟姉妹どうしでも距離感や仲の良さはさまざまなわけで…片方が病気や障がいがあるからといって、プレッシャーがかからないといいなと思っています)、親御さんにとってそれが悲しいことなら、親御さんがそんな話を安心してできる場におつなぎできたらいいな、親御さんがつらく思いすぎたりご自身を責めることがないといいなということも考えます。あと、きょうだいが兄弟姉妹に持つ感情はずっと同じでなく変化していくこともあるので、この子は兄弟姉妹が嫌いなんだと決めつけないようにしたいと思っています。
 兄弟姉妹のことを好きでいないといけない、好きじゃないことはよくないことなんだ、と、自分自身で思ったり、周りの人に言われたことがあるきょうだいがいっぱいいるだろうなと思います。家族は仲良くあってほしい、きょうだいどうし助け合ってほしい、無意識のうちに周りの大人が子どもたちのゴールを決めてしまっていないかなと自覚的でありたいです。きょうだいたちが、どんなことを思っても心が自由でいられるように、どんな気持ちにも居場所があるようにしていきたいです。