もう1人の主役(46)

京大病院小児科に「楽しい時間」をプレゼントしていらっしゃるボランティアグループ
にこにこトマトさんのニュースレターに04年10月からへなちょこなコラムを書かせていただいています。コラムのタイトルは「もう一人の主役」。代表の神田さんがつけてくださいました(わーい)。

当たり前
しぶたねは、親御さんが入院中のお子さんに面会に行かれる間、廊下に座って待っているきょうだいさんとあそぶ活動を病院で行っています。小さなきょうだいさん達は感染予防のために病棟のガラス扉の向こうに行くことはできません。これはもう何十年も前から当たり前の事実のようになっていて…私たちはせめて廊下で待つきょうだいが安全で楽しく過ごせるようにと活動を続けています。
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(今月はハロウィンに合わせて、病棟と廊下とどちらからも顔を出してあそべる壁飾りを作りました。これを病棟のガラス扉に貼って、入院中のお子さんときょうだいさんとで楽しんでもらえたらいいなと思っています。)
活動日は20時まで病院にいますが、活動終了後も再び病棟の前に戻って待ち続けるきょうだいさんもいます。初めて活動に入ってくださった方がその状況を目の当たりにして思わず「まだ帰られへんの?」ときょうだいさんに尋ねたことがありました。きょうだいさんは心配する私たちを気遣って「うん、いつも10時とかだから。でも慣れてるから大丈夫!」と笑顔で答えてくれました。気を遣わせて申し訳なかったと思いつつ、初めてこの状況を見た大人はこんなにびっくりしてショックを受けるんだということが新鮮で、自分がこんな状況に慣れてしまっているんじゃないか、これが当たり前だと思ってしまっているんじゃないかとハッとしました。
先日は、自分が病棟に入れないことを知って「どうして?僕もあっちに行ってお兄ちゃんとあそびたい!なんで?なんでだめなん?」となかなか納得のいかないきょうだいさんを見かけました。そうだよね、きょうだい同士であそびたいよね、こっちが当たり前だよね、と思います。
廊下で待つきょうだいさんたちは、しぶたねの活動の原点です。20年以上前、私がまだ中学生だった頃に病院の廊下で見て何とかしなければと思った光景。それが今…少しずつ変化が起こっています。時々特別な部屋を用意してきょうだいが一緒にあそべるよう工夫されている病院、面会制限の年齢を下げた病院、健康チェックを経てきょうだいも病棟に入れる病院…。もちろん病気のお子さんに万が一のことがあっては困るので無条件にぜひぜひどんどんとは思いませんが、病気になってもきょうだい同士のつながりが途切れないよう工夫していくことが当たり前になっていくように、できることを考え続けたいです。