京大病院小児科に「楽しい時間」をプレゼントしていらっしゃるボランティアグループ
にこにこトマトさんのニュースレターに04年10月からへなちょこなコラムを書かせていただいています。コラムのタイトルは「もう一人の主役」。前代表の神田さんがつけてくださいました(嬉しい)。
「1日5分でいいから…?」
病気をもつ子どものきょうだいたちは、いろんな気持ちを感じながら日々を過ごしています。どうしても病気をもつ子どもに周囲の大人の目が集中するため、「自分は見てもらう価値のない方の子どもなんだ」と感じているきょうだいがいたりもします。「自分は大切にされるべき存在だ」という自信を持てないまま大人になり、生きづらさを抱えるきょうだいもいます。こんな気持ちを少しでも軽くするために、お家の中だけで頑張らないといけないのではなく、第三者ができることもたくさんあるのではと思ってきました。
きょうだいが寂しい気持ちを抱えているかも、と感じた時、保護者の方に「1日5分でいいからきょうだいちゃんのことも見てあげてくださいね」と伝えるのは簡単なことです。でも、きょうだいさんや保護者の方と出会う中で感じているのは「1日に5分もきょうだいに目を向けていなかったら、この子はここまで大きくなれなかったのでは」ということです。子どもが大きなケガをしないように、健やかに成長していけるように、保護者の方はたとえば目の前に子どもがいない間も、子どもたちを大切に育てておられます。子どもたちのエネルギーになっているごはんだって、「少しでも栄養がとれるように」とか、「今日は好きなものをつくってあげよう」と、お子さんを思う気持ちが添えられていますし、子どもたちが着ている服だって「これ可愛いなー」とか、「サイズが合わなくなったから買い替えなきゃ(大きくなったなあ)」とか、そんな思いに包まれてきょうだいたちはここまで大きくなったんだなあと思います。
あるお母さんが「きょうだいさんのための本」を保健所で見て、「きっとこの中には、『きょうだいのためにこんなこともあんなこともしてあげて』と書いてあるんだと思って、こわくて開くことができませんでした。私がきょうだいに何もしてあげられてないことは自分でよくわかっているから。」と話してくださいました。そのお家のきょうだいさんの髪がきれいに編み込まれていたので「わ、編み込み可愛いね。お母さんがしてくれるの?」と尋ねると、うん、と頷き、「そうなんだ、嬉しいね!」と伝えたら、にっこり笑ってくれました。その笑顔が本当に可愛くて、お母さんは涙がぽろりとこぼれ、「お母さん頑張ってますよね」「ほんとだ私頑張ってますよね」と確認をしました。
保護者の方がきょうだいを大切に思っていること、なかなかきょうだいには伝わっていないことがあります。たとえば「今日はカレーだよ」と伝えるだけでなく「今日はあなたの好きなカレーにしたよ」と伝える。見えやすくすることで、愛されていることが子どもたちにわかりやすく伝わるお手伝いをさせていただけたら嬉しいなと思っています。