もう1人の主役(51)

京大病院小児科に「楽しい時間」をプレゼントしていらっしゃるボランティアグループ
にこにこトマトさんのニュースレターに04年10月からへなちょこなコラムを書かせていただいています。コラムのタイトルは「もう一人の主役」。前代表の神田さんがつけてくださいました(わーい)。

 私たちが開いている「きょうだいの日」のベースになっているのは、アメリカで広く行われている、特別なニーズをもつ子ども達の兄弟姉妹のための「シブショップ」というワークショップのプログラムです。シブショップは4月で25周年を迎えました。私がシブショップに出会ったのは16年前。トレーニング中に、開発者のドナルド・マイヤーさんがきょうだいたちに「ひとりじゃないよ」と話しかけるのを見ているうちに、自分の中の「きょうだい」にそう言ってもらったように感じて涙があふれ、日本のきょうだいたちにも「ひとりじゃない」と感じられる場をつくりたくて「しぶたね」を立ち上げました。
 そんなマイヤーさんが最初に「シブショップ」をつくった理由を昨年初めて教わりました。シブショップが開発されるまで、アメリカのきょうだいたちのためのプログラムと言えばセラピーしかなく、何にもない静かな小部屋にぽつんと置かれた椅子にきょうだいが座り、セラピストの治療を受けるしかなかったそうです。マイヤーさんは「治療だけでなく、もっと楽しい場があればいいんじゃないか」と考え、きょうだいが出会い、あそび、嬉しいことも悲しいこともどちらでもないこともみんなで共有できる場をつくろうと、シブショップをつくり、広めておられます。
 シブショップは治療プログラムではなく、そして、参加者と運営者にとって「お祭り」なのだと説明されます☆私たちはこの「お祭り」が、繰り返し参加してくれているきょうだいたちにとって大切な意味があることを体感していますが、治療の必要がない(=今何の問題も生じていない、あるいはそう見える)子どもたちが、ただ仲間と安心して楽しく過ごす場の必要性や効果を伝えることはなかなかに難しく、私たちの中の大きな課題のひとつになっています。
 先週、25回目になる「きょうだいの日」を開催しました。前回参加してくれたきょうだいさんの親御さんが「きょうだいの日に参加して、うちの子とっても変わりました。明るくなって…自分に自信がもてたみたいです」と話してくださいました。ただ大歓迎されて、思いっきりあそんで、いっぱい笑う、そんな時間を過ごすことで自分に自信がもてたなんて、子どもって本当にすごいです。
 きょうだいの日は広い広い体育館を貸し切りにして開いているのですが、すみからすみ…高い天井まで、きょうだいたちを大切に思うボランティアさんたち、イベントを支えてくれるたくさんの人たちの気持ちが満ちているのをいつも感じます。この空気をたくさん吸い込んで過ごすことがきょうだい達の心を支え、充電する効果がちゃんとあるんだなあと改めて思いました。そんな場がひとつでも増えるように、当たり前になるように、これからも活動を続け広めていきたいのです。