もう一人の主役(24)

京大病院小児科に「楽しい時間」をプレゼントしていらっしゃるボランティアグループ
にこにこトマトさんのニュースレターに04年10月からへなちょこなコラムを書かせていただいています。
コラムのタイトルは「もう一人の主役」。神田さんがつけてくださいました(わーい)。

青空表彰式
 3月8日は11回目の「きょうだいの日」でした。春のきょうだいの日は親子でほのぼのバージョン。きょうだいさんが親御さんを独り占めして一緒にあそび、お互いを大好きな気持ちを伝え合うひとときを目指して企画しています。
 今回はちょうどよいぽかぽか陽気だったので、初めて少し外に出てみました。会場の隣にある大きな原っぱにレジャーシートを敷いて、みんなでおにぎりを食べたらピクニックみたい!その後はながなわとびをしたり、輪になって水風船を投げ渡すゲームをしたり、散歩中の大きな犬が2匹乱入してきて騒いだり、とても楽しい時間になりました。
 おにぎりを食べた時に、自己紹介を兼ねて、子ども達の表彰式をしました。親御さんに渡した表彰状の用紙には「○○殿」と子どもの名前を書くところと、「私は○○ちゃんの○○なところが大好きです。よってその功績をたたえ、ここに表彰いたします」という文章と日付が印刷されています。
 ○○の部分に子どもの好きなところを書き込んでもらう間、子どもたちには目をつぶるよう言ったのですが、「どうせ書くことないんやろ」と言いながらわくわくした顔でじっとのぞきこんでいる子、両手で目を覆いながらも楽しみで顔がほろこんでいる子、その様子があまりに可愛くて、私もボランティアリーダーたちもたまらない気持ちになりました。
 親御さんが書き込んでくださったお子さんの大好きなところはさまざまで、向かい合って表彰状を読んでもらう間、子ども達は照れまくり、はにかみ、でも嬉しさがあふれ出ていて、これまで見たことのないような可愛い笑顔を見せてくれました。空は真っ青で、お日様はポカポカあたたかくて、みんなが笑顔で…その光景はしあわせそのものに見えました。
 実は、この表彰状のアクティビティをスタッフで考えた時、こんなにもしあわせな時間になるとは思っていなかったのです。きっと親御さんも子どもも照れて、笑ってごまかしたり、ぶっきらぼうに受け取ったり、その場ではそんなに盛り上がらないだろうけど、子ども達に良いおみやげができたらじゅうぶんすてきだよね、という気持ちで考えたことでした。
 でも、親御さんは照れる気持ちをおさえて、子ども達に大好きなことをまっすぐ伝えてくれました。子ども達は照れながらも、その気持ちをしっかり受け取り、親御さんを大好きな気持ちを全身で表してくれました。私たちはたくさんのことを教わりました。
 表彰状と言っても、ぺらぺらの紙に印刷しただけのものです。書いて読み上げるのもたった数分。それだけのことなのに、きょうだいたちはこんなにもわくわくして、喜びにあふれていました。親御さんがまっすぐ向かい合ってほめてくれること、大好きと伝えてくれること、子ども達はこんなにも待ち望んでいました。
病気の子どものことが大変できょうだいに何もしてあげられないと悩んでおられる親御さんがたくさんいらっしゃいます。些細に見えることでも、親御さんには子どもをこんなに良い笑顔にできる力があるのだということを伝えていきたい、改めて思う1日でした。
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表彰状のシートはこちらのサイトを利用させていただきました(感謝)。
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