もう1人の主役(15)

京大病院小児科に「楽しい時間」をプレゼントしていらっしゃるボランティアグループ
にこにこトマトさんのニュースレターに04年10月からへなちょこなコラムを書かせていただいています。
コラムのタイトルは「もう一人の主役」。神田さんがつけてくださいました(わーい)。

ただ遊んでいるだけ
しぶたねのワークショップや病院での活動を見学していただいた方に「なんだ、ただ遊んでいるだけなんですね」と言われることが時々あります。最初の頃は「がっかりさせてしまったのかな?」「これじゃだめなのかな?」とちょっと傷ついてしょんぼりしたりしていましたが、今は素直に「わーい」と喜べるようになりました。
普段、どうしても病気の子どもに合わせた生活をしているきょうだい達の中には、毎日学校が終わったらすぐに病院に来て廊下で夜まで過ごす子がたくさんいます。一人きりで廊下にレジャーシートを敷いて宿題をしたり夕飯を食べたりゲームをしたり…誰かと笑いあうことも、走り回ることもありません。
活動日に私達と遊ぶ子どもを見て、「この子がこんなふうに笑うのを見るのは久しぶり」と言ってくださる親御さんがいます。「この子らがこんなに楽しそうにしてるのを初めて見たわ」と言ってくださる看護師さんがいます。「ただ遊ぶこと」「ただ楽しいと思うこと」は、子どもにとってきっと当たり前でとっても大切なことなのに、それができない子どもがこんなにもいること。心配なこと、つらいことを一時忘れて、安心して遊べる場所がない子どもがこんなにもいること。その現状に胸が痛みます。
しぶたねが用意している場所で、子ども達がただ遊ぶことができているなんて、それ以上すてきなことはありません。今は「ただ遊んでいるだけなんですね」は立派な褒め言葉だと思っています(わーい!)。そしてこんな当たり前で簡単なはずのことをできるようにするため、こんなにも準備が必要なことに驚きます。
きょうだいの子と遊ぶ時の、子どもが「これおもろい!」と思う瞬間の目のキラキラ、笑顔、自然ともれる声、たまらないなあ!と思います。そんな当たり前のことに感動している自分がいて、それを見て「なんだ」と思う人もいて、私は感動できて本当に幸せ者だなあと思うのです。
にこトマさんのニュースにあふれている子ども達の「これおもろい!」の顔は本当にすてきです。ただ遊ぶことを病院でも当たり前にできるようにするには、どんなにたくさんの準備が必要でしょう。にこトマさんのニュースを手にとる方々がみなさん「ただ遊ぶこと」のすごさをわかっていて、それを支えているんだと思うと、そのスケールの大きさにくらくらします。そしてそこに加えていただいていることの幸せさにどきどきするのです。
100号、おめでとうございます☆