病気や障がいなど特別なニーズのある人のきょうだいを「きょうだい児」と呼ぶことがあります。私たちは、病気や障がいのある子どものきょうだいたちを、親しみをこめて「きょうだいさん」と表現することが多いです(男女や年齢の上下の区別なく兄、姉、弟、妹をあらわすひらがな表記を使っています)。
病気や障がいのある子どものきょうだいたちは、子どものうちから、不安や寂しさ、罪悪感、プレッシャー、悲しみ、怒り…いろんな気持ちを抱え、感じながら、大きくなっていきます。子ども時代に抱えた経験、複雑な気持ちは、たとえきょうだいの病気が治っても、きょうだいさん自身が大人になっても、帳消しになるわけではなく、大人になってもしんどい気持ちを抱え続けるきょうだいもたくさんいます。
保護者の方々もきょうだいのことを心配し、だけど治療や病気のケアに追われてなかなか思うようにきょうだいと過ごせず、悩んでおられたり、ご自身を責めてしまうということが起こっています。そんな保護者の方々の悩みを受け止めておられる支援職の方々からもまた、きょうだいたちに何をしてあげられるだろうと悩んでおられる声を聴いています。
命を脅かしたり、一生付き合っていかなければならないような重い病気のある子どもは日本に20万人以上いると言われています。単純に、その子どもたちにひとりずつきょうだいがいると仮定しても「きょうだい」は20万人いることになりますが、そんなきょうだいたちを支える仕組みはほとんどなく、きょうだいを支える団体も数えられるほどしかありません。
NPO法人しぶたねの活動
私たちは、きょうだいたちのしんどさを、きょうだいや家族だけで抱えるのではなく、もっと社会のたくさんの人で関わっていけることがあるのではと感じ、活動をひろげてきました。
きょうだいたちが、子ども時代を「子ども」として大切に過ごせるように…
「どんな気持ちも持っててだいじょうぶ」「ひとりじゃない」そんなふうに思える安心感の中で、たくさんの人に愛され、歓迎され、一緒に笑い合い、時には怒ったり、悲しんだり、涙もこぼし、支えられ、支えになり…という経験を通して、自分を大切にできる大人になっていけるように、できることを考え続けています。
きょうだいたちは大きな力をもっています。可愛く、優しく、強く、偉大なきょうだい達が教えてくれること、渡してくれるものは本当に大きく…頑張る子ども達にごほうびをと思って始めた活動でしたが、ごほうびをもらっているのはいつでも私たちの方です。子ども達が教えてくれた大切なことを独り占めしないように、きょうだい支援の輪が広がるように、これからもきょうだいたちとみなさまと一緒に楽しいたねまきを続けていけたらしあわせです。